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麻生太郎 2008年9月29日 所信表明演説全文



演説に先立ち、申し上げさせていただきます。
まず内閣が、突然交代することとなり、国民の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びをいたします。
また、中山国土交通大臣に代え、金子国土交通大臣を任命しました。
中山前大臣の一連の発言は、閣僚としてまことに不適切であります。
関係者の方々、国民の皆様に深くお詫びを申し上げます。

私、麻生太郎は、この度、国権の最高機関による指名、
かしこくも、御名御璽をいただき、第92代内閣総理大臣に就任をさせていただきました。
私の前に、58人の総理が列しておいでです。118年になんなんとする、憲政の大河があります。
新総理の任命を、憲法上の手続きにのっとって続けてきた、統治の伝統があり、
日本人の、苦難と幸福、哀しみと喜び、あたかもあざなえる縄の如き、連綿たる集積があるのであります。
その末端に連なる今この時、私は、担わんとする責任の重さに、うたた厳粛たらざるを得ません。
この言葉よ、届けと念じます。ともすれば、元気を失いがちなお年寄り、
若者、いや全国民の皆様のもとに申し上げます。

日本は、強くあらねばなりません。
強い日本とは、難局に臨んで動じず、むしろこれを好機として、一層の飛躍をのし‥成し遂げる国であります。

日本は、明るくなければなりません。
幕末、我が国を訪れた外国人が、驚嘆とともに書きつけた記録の数々を通じて、
私ども日本人とは、決して豊かでないにもかかわらず、実によく笑い、微笑む国民だったことを知っております。
この質‥性‥性質は、今に脈々と受け継げられているはずであります。蘇らせなくてはなりません。

日本国と日本国民の行く末に、平和と安全を。
人々の暮らしに、落ち着きと希望を。そして子どもたちの未来に、夢を。
私は、これらをもたらし、盤石のものとすることに本務があると深く肝に銘じ、
内閣総理大臣の職務に、一身を投げ打って邁進する所存であります。

私は、悲観しません。
私は、日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことがありません。
時代は、内外の政治と経済において、その変化に奔流の勢いを呈するが如くであります。
しかし、私は、変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力を、どこまでも信じて疑いません。
そして私は、決して逃げません。
私は、自由民主党と公明党の連立政権の基盤に立ち、責任と実行力ある政治を行うことを、国民の皆様にお誓いします。

はじめに、国会運営について申し上げます。
先の国会で、民主党は、自らが勢力を握る参議院において、税制法案を店晒しにしました。
その結果、2か月も意思決定がなされませんでした。
政局を第一義とし、国民の生活を第二義、第三義とする姿勢に終始したのであります。
与野党の論戦と、政策をめぐる攻防はもとより、議会制民主主義が前提とするところです。
しかし、合意の形成を予め拒む議会は、およそその名に値しません。
「政治とは国民の生活を守るためにある。」民主党の標語であります。
議会人たる者、何人も異を唱えぬでありましょう。
ならば今、まさしくその本旨を達成するため、合意形成のルールを打ち立てるべきであります。
民主党に、その用意はあるのか。それとも国会での意思決定を否定し、再び国民の暮らしを第2義とすることで、
自らの信条すら裏切ろうとするのか。国民は、瞳を凝らして見ているでありましょう。
本所信において、私は、あえて喫緊の課題についてのみ、主張を述べます。
その上で、民主党との議論を、議論に臨もうとするものであります。

緊急な上にも緊急の課題は、日本経済の立て直しであります。
これに、3段階を踏んで臨みます。当面は景気回復、中期的には財政再建、中・長期的には改革による経済成長。
第1段階は、景気対策であります。
政府与党には「安心実現のための緊急総合対策」があります。
その名のとおり、物価高、景気後退の直撃を受けた人々や農林水産業・中小零細企業、
雇用や医療に不安を感じる人々に、安心をもたらすとともに、改革を通じて経済成長を実現するものです。
今年度内に、定額減税を実施します。家計に対する緊急支援のためであります。
米国経済と国際金融市場の行方から目を離さず、実体経済への影響を見定め、
必要に応じ、更なる対応も弾力的に行います。
民主党に要請します。緊急総合対策実施の裏付けとなる補正予算。
その成立こそは、まさしく焦眉の急であります。
検討の上、飲めない点があるのなら、論拠と共に代表質問でお示しをいただきたい。
独自の案を提示されるももちろん結構。ただし、財源を明示していただきます。
双方の案を突き合わせ、国民の前で競いたいものであります。
あわせて、民主党の抵抗によって、1ヶ月分穴が空きました地方道路財源を補てんとする関連法案を、
できるだけ速やかに成立させる必要があります。この法案についての賛否もお伺いします。
第2段階は、財政再建です。
我が国は、巨額の借金を抱えており、経済や社会保障に悪い影響を与えないため、財政再建は、当然の課題です。
国・地方の基礎的財政収支を黒字にする。2011年までに、目標を立てました。
これを達成すべく努力します。しかし、目的と手段を混同してはなりません。
財政再建は手段。目的は日本の繁栄です。経済成長なくして、財政再建はない。あり得ません。
麻生内閣の目的は、日本経済の持続的で安定した繁栄にこそある。
我が内閣は、これを基本線として踏み外さず、財政再建に取り組みます。
第3段階として、改革による成長を追い求めます。
改革による成長とは何でありましょうか。それは日本経済の王道をゆくことです。
すなわち、新たな産業や技術を生み出すこと、それによって、新規の需要と雇用を生み出すことに他なりません。
「新経済成長戦略」を強力に推し進めます。
阻むものは何か、改革すべきものは何か。それは規制にあり、税制にある。廃すべきを廃し、改めるべきものは改めます。
強みは何か。勤勉な国民であり、優れた科学と技術の力です。底力を解き放ちます。
日本経済は、幾度となく厳しい試練に対して果敢に応じ、その都度、強くなってきました。
再び、その時が来たのであります。
以上、3段階について申し上げました。めどをつけるのに大体3年。日本経済は全治3年と申し上げます。
3年で、日本経済は脱皮できる、せねばならぬと信じるものであります。

暮らしの安心について、申し上げます。
不満とは、行動のバネになる。しかし、不安とは、人をしてうつ‥うつむかせ、立ちすくませる。
実に忌むべきは、不安であります。
国民の暮らしから不安を取り除き、強く明るい日本を、再び我が物としなくてはなりません。
「消えた年金」や「消された年金」という不安があります。
個人の記録、従って年金給付の確実さが、信用できなくなっております。
ひたすら手間と暇を惜しまず、確かめ続けていくしか方法はありません。
また不祥事を行った職員に対しては、厳正なる処分を行います。
私は、ここに頭を垂れ、国民のご理解、ご協力を請い願うものであります。
あわせて、年金等の社会保障の財源をどう安定させるか、その道筋を明確に‥化すべく、検討を急ぎます。
医療に信を置けない場合、不安もまた募ることは言うまでもありません。
私はまず長寿医療制度が、制度不明も‥不足もあり、国民をいたずらに混乱させた事実を虚心に認め、強く反省するものであります。
しかし、この制度をなくせば解決するものではありません。
高齢者に納得していただけるよう、1年を目途に、必要な見直しを検討します。
救急医療のたらい回し、産科や小児科の医師不足、妊娠や出産費用の不安、介護の人手不足、保育所の不足。
いつ自分を襲うやもしれぬ問題であります。
日々不安を感じながら暮らさなくてはならないとすれば、こんな憂鬱なことはありません。
私は、これら不安を我が事として、1日も早く解消するよう努めます。
次代の日本を担う若者に、希望を持ってもらわなくては、国の土台が揺らぎます。
困っている若者に自立を促し、そして手を差し伸べます。そのための、若者を支援する新法も検討します。
最低賃金の引上げと、労働者派遣制度の見直しも進めます。あわせて、中小零細企業の底上げを図ります。

学校への信頼が揺らいでいます。教育に不安が生じています。
子どもを通わせる学校を信頼できるようにしなければなりません。
保護者が納得するに足る、質の高い教育を実現します。
子どもの痛‥痛ましい事件が続いています。治安への信頼を取り戻します。

ここで、いわゆる事故米について述べます。
事故米と知りつつ流通させた企業の責任は、断固処断されるべきものとして、
これを見逃した行政に対する国民の深い憤りは、当然至極と言わねばなりません。
私は、行政の長として幾重にも反省を誓います。再出‥再発を絶対に許さないため、全力を挙げます。
すべからく、消費者の立場に立ち、その利益を守る行政が必要な所以であります。
既存の行政組織には、事業者を育てる仕組みがあり、そのため訓練された公務員がありました。
全く逆の発想をし、消費者、生活者の味方をさせるためにつくるのが、消費者庁であります。
国民が泣き寝入りしなくて済むよう、身近な相談窓口を、一元化するとともに、何か商品に重大な事故が起きた場合、
その販売を禁止する権限も持たせます。悪質業者は、市場から駆逐され、まじめな業者も救われます。
行政の発想そのものをめぐる改革であればあるだけ、甲論乙駁はもっともであります。
しかし、国民の不安と怒りを思えば、悠長な議論はしておられません。
消費者庁創設に、ご賛同いただけるのか否か。民主党にも問うものです。
否とおっしゃるなら、成案を早く得るよう、話合いに応じていただけるのか。問いを投げかけるものであります。
行政改革を進め、ムダを省き、政府規模を縮小することは当然です。
しかし、ここでも、目的と手段をはき違えてはなりません。政府の効率化は、国民の期待に応える政府とするためです。
簡潔に‥簡素にして国民に温かい政府を、私はつくりたいと存じます。地方自治体にもそれを求めます。
私は、その実現のため、現場も含め、公務員諸君に粉骨砕身働いてもらいます。
国家国民のために働くことを喜びとし‥してほしい。
官僚とは、私と私の内閣にとって敵ではありません。しかし信賞必罰で臨みます。
私が先頭に立って彼らを率い、彼らは、国民に奉仕する政府の経営資源であります。
その活用をできぬものは、およそ政府経営の任に耐えぬものであります。

目を、地域に転じます。
ここで目指すべきは、地域の活力を呼び覚ますことです。それぞれの地域が、誇りと活力を持つことが必要です。
しかし、その処方箋は、地域によってひとつずつ違うのが当たり前。
中央で考えた一律の策は、むしろ有害ですらあります。
だからこそ、知事や市町村長には、真の意味で地域の経営者となってもらわなければなりません。
そのため、権限と責任を持てるようにします。それが、地方分権の意味するところです。
進めるに際して、霞が関の抵抗があるかもしれません。私が決断します。
国の出先機関の多くには、二重行政の無駄があります。国民の目も届きません。これを地方自治体に移します。
最終的には、地域主権型道州制を目指すと申し上げておきます。

農林水産業については、食料自給の重要さを改めて見直すことが、第一の課題となります。
50パーセントの自給率を目指します。
農業を直ちに保護の対象ととらえる発想は、この過程で捨てていかねばなりません。
攻めの農業へ、農政を転換するのであります。
10月1日に発足の運びとなる観光庁の任務に、観光を通した地域の再生があることを申し添えておきます。
沖縄の声に耳を傾け、沖縄の振興に引き続き取り組みます。
昨今は、集中豪雨や地震など、自然災害が相次いでおります。被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
復旧・復興には、無論、万全を期してまいります。

環境問題、とりわけ地球温暖化問題の解決は今を生きる我々の責任です。
自然と共生できる循環型社会を、次の世代へと引き継ぐことが求められております。
資源高時代に対応した、経済構造転換も求めらす‥られます。
なすべきは、第一に、成長と両立する低炭素社会を、世界に先駆けて実現するということ。
第二に、我が国を、が強みを持つ環境・エネルギー技術には新たな需要と雇用を生む力があることを踏まえ、これを育てていくこと。
そして第三に、世界で先頭をゆく環境・省エネ国家として、国際的なルール作りを主導していくということです。

次に、外交について、私が原則とするところを、申し述べます。
日米同盟の強化。これが常に、第一であります。以下、順序を付けにくいのをお断りした上で、
隣国である中国、韓国やロシアをはじめ、アジア・太平諸国の、の国々と共に地域の安定と繁栄を築き、共に伸びていく。
これが、第二です。

人類が直面する地球規模の課題、テロ・温暖化・貧困・水問題などに取り組む。第三です。
我が国が信奉するかけがえのない価値が、若い民主主義諸国に根づいていくよう助力を惜しまない。第四です。
そして第五に、北朝鮮への対応です。朝鮮半島の安定化を心がけながら、拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決し、
不幸な過去を清算し、日朝国交正常化を図るべく、北朝鮮側の行動を求めてまいります。
すべての拉致被害者の一刻も早い帰国の実現を図ります。

以上を踏まえて、民主党に伺います。
今後日本の外交は、日米同盟から国連に軸足を移すといった発言が、民主党の幹部諸氏から聞こえてまいります。
私は、日本国と日本国民の安寧にとって、日米同盟は、今日いささかもその重要性を失わないと考えます。
事が国家、世界の安全保障に関わる場合、現在の国連は、少数国の方針で左右され得るなど、
国運をそのままゆだね得る状況ではありません。
日米同盟と国連と、両者をどう優先劣後させようとしているか。
民主党には、日本国民と世界に対し、明確にする責任があると存じます。論拠と共に伺いたいと存じます。
第二に伺います。海上自衛隊によるインド洋での補給支援活動を、私は我が国が、我が国の国益をかけ、
我が国自身のためにしてきたものと考えてきました。テロとの闘いは、まだ到底出口が見えてまいりません。
尊い犠牲を出しながら、幾多の国々はアフガニスタンへの関わりを、むしろ増やそうとしております。
この時に当たって、国際社会の一員たる日本が、活動から手を引く選択はあり得ません。
民主党は、それでいいと考えるのでしょうか。見解を問うものであります。

私が本院に求めるのは、与野党の政策をめぐる協議であります。
内外多事多難、時間を浪費することは、すなわち国民に対する責任の不履行を意味します。
今、景気後退の上に、米国発の金融不安が起きております。
私が提案をしております、緊急総合経済対策を裏付ける補正予算、地方道路財源を補てんとする関連法案を、
速やかに成立させることが、国民に対する政治の責任ではないでしょうか。
再び、民主党をはじめ野党の諸君に、国会運営への協力を強く要請します。
当面の論点を、以上にご提示をいたしました。お考えをお聞かせ願いたく、私の所信表明を終えさせていただきます。


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